耳鼻咽喉科

診療科概要

 

後藤 穣

耳鼻咽喉科 部長・病院教授

耳鼻咽喉科は耳、鼻、のど(咽頭喉頭)、くび(頚部)、顔面まで様々な領域にまたがる分野です。

耳では、急性中耳炎、滲出性中耳炎、慢性中耳炎といった頻度の高い疾患以外に、難聴やめまいを起こす内耳の疾患として、良性発作性頭位めまい症、突発性難聴、メニエール病、前庭神経炎などがあります。

特殊な両側性変動性進行性の難聴である内耳自己免疫病という疾患があり、検査・治療を富山が担当しています。

 

鼻副鼻腔疾患では、急性・慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎(花粉症)が頻度の高い疾患です。アレルギー性鼻炎に対しては、原則として「鼻アレルギー診療ガイドライン」に準拠した標準的治療を実践しています。当科の特徴は、薬物療法や手術療法だけでなく、根治治療であるアレルゲン免疫療法を積極的に行っていることです。現在は皮下注射によってハウスダスト、ダニ(標準化)、スギ(標準化)、ブタクサのアレルゲン免疫療法を行っています。

皮下注射は患者さまごとに治療エキスの量をきめ細かく設定する必要があるので、初めの2-3カ月は1週間に1回の注射で徐々に量を増やしていきます。4-5ヶ月以降は1か月に1回の注射を定期的に行います。3-5年間治療を継続することが必要です。

2014年10月からはスギ舌下免疫療法が実用化されました。舌下免疫療法は全身性副反応が少なく安全で簡便な方法です。ヨーロッパでは30年ほど前から臨床応用されています。日本で最初に発売されるシダトレン(スギ花粉症治療薬)は、最低2年間、毎日自宅で投与する必要があります。10%程度の患者さまに口のかゆみ、舌下の腫れ、のどの違和感などが一過性に起こります。

2015年11月、ダニに対する舌下免疫療法治療薬(錠剤)が発売されました。

ダニによる通年性アレルギー性鼻炎の方が適応になります。(12歳以上)

 

副鼻腔炎(蓄膿症)に対しては内視鏡を用いた手術を行っていますので、粘膿性鼻汁、鼻閉、後鼻漏、嗅覚障害でお困りの方はご相談ください。ハイビジョン内視鏡を用いて、細部まで病変を切除していきます。当院では全身麻酔で行い、2-3日間止血のため鼻内ガーゼを挿入します。通常、手術の前日入院して頂き、術後3日間の入院(合計 5日間)になります。

 

慢性中耳炎の手術を平成27年1月より当院でも開始しました。鼓膜に穴があり、耳だれ、難聴でお困りの方はご相談ください。

 

●アレルギー性鼻炎に対する鼻粘膜レーザー手術を外来(局麻)で行っています。薬物療法などで効果不十分な方、鼻閉がひどい方など一度ご相談ください。

 

●いびきや睡眠時無呼吸が気になる方はアプノモニター検査を行い、手術が必要か保存的治療か(CPAP導入など)治療方針を判断しています。より詳しい検査が必要な方は一泊入院していただき、PSG検査(脳波検査)を行っています。

 

●頭頚部がんなど、大きな手術が必要な患者さまは適切な施設にご紹介するように連携を取っています。

 

 

日本アレルギー学会教育施設に認定されました。(2013年5月から2018年3月)

 

 


診療時間や予約制などについて

 

初診・再診とも予約をおとりいたします。

患者さまの予約受け付けは
・月~金:午後3時から午後4時30分
・土   :午後2時から午後3時30分
電話:042-371-2111(代表)耳鼻科外来まで

 

一般外来受付は(診察開始は9時00分から)

初診:8時30分から11時00分まで

再診:7時30分から11時30分までになっています。

水曜日は予約患者さまのみの診察になります

金曜日は手術日のため外来診療を行っていません。

 


特殊外来(いずれも一般外来受診が必要です。)

 

精密聴力検査・めまい検査: 月~土 午後1時30分~ 検査結果は担当医が説明

補聴器外来: 火曜日、金曜日(斉藤)

鼻アレルギー外来: 火曜日 午後2時~(後藤)

内耳自己免疫病外来: 水曜日 (富山)

 


アレルギー性鼻炎のメカニズム

 

 ヒスタミンの作用を動画で見ることができます。(日本アレルギー協会HPより)

 人体におけるヒスタミンの科学【アレルギー性鼻炎編】
〜ヒスタミンと抗ヒスタミン薬の作用が解き明かされる〜

 

アレルギー性鼻炎を起こす原因(アレルゲン)について、このような指導箋を用いて説明しています。

①室内抗原

②花粉症

③昆虫

 

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特殊外来と検査の説明

  精密聴力検査

幼児難聴や意識障害者難聴の聴性脳幹反応聴力検査、さらに難聴原因解明や補聴器装着に必要な語音明瞭度検査、聴性脳幹反応、SISI、自記オ−ジオ、UCLを行っています。

めまい検査

平衡機能検査には電気眼振図を用いて、標準、頭位・頭位変換、カロリックテストを行います。

補聴器外来 (斉藤)

補聴器専門医師が担当します。精密聴力検査結果を基に補聴器の選定を行い、機器の調節を行います。その上で補聴器使用試験期間を設け、ご本人にとって有用か否かを決めて頂きます。

鼻アレルギー外来 (後藤)

一般外来で抗原検索を含め鼻アレルギーに必要な検査を行ない、アレルギー外来では閾値検査を行います。主に皮下免疫療法を行っています。

皮下アレルゲン免疫療法: 少量の抗原(アレルギーの原因物質)を皮下注射して体を慣らせ、アレルギーの症状を緩和させます。ハウスダスト、スギ、ブタクサについて実施しています。初めの2-3カ月は1週間に1回の注射で徐々に量を増やしていきます。4-5ヶ月以降は1か月に1回の注射を定期的に行います。3-5年間治療を継続することが必要です。

6月より新規の患者さまに対して、舌下免疫療法処方を開始しました。

(昨年以来、約30名の患者さまが治療を継続しています。)

 

スギ花粉症では皮下注射で行うか、舌下免疫療法を行うか、患者さまごとに適切な治療法を考える必要があります。

スギ以外の抗原の治療を要する方には皮下注射で同時に複数の治療をすることをお勧めしています。

 

皮下注射のメリット

  • 舌下免疫療法に比べて投与頻度が少ない(初年度は20回程度、2年目以降は12回程度)
  • 治療を病院で管理する

皮下注射のデメリット

  • 注射の疼痛がある
  • 定期的に病院を受診する必要がある
  • アナフィラキシーショックの危険性がある

舌下免疫療法のメリット

  • 痛みがない
  • 自宅で投与できる
  • 副反応は軽度の局所反応がほとんどである

舌下免疫療法のデメリット

  • 自己管理のため途中でやめてしまう例が多い
  • 1年を通じて365日投与する必要がある
  • (発売1年間は)1回の診察につき2週間分しか処方できない(年間24回受診)

アレルゲン免疫療法に共通するデメリット

  • 効果が現れるのが遅い
  • 約20%の人には効果がない
  • 治療前に効果を予測することができない

 

舌下免疫療法を開始するための確認事項

  • 少なくとも2年間、毎日規則正しく投与できますか?
  • 効果がすぐに現れないことを知っていますか?
  • 局所の副作用(口の中のかゆみ、腫れ、のどの違和感・・・など)が起きる可能性があることを知っていますか?
  • 投与後2時間は激しい運度や入浴をしてはいけないことを知っていますか?
内耳自己免疫病外来 (富山)

内耳自己免疫病の症状・診断・治療

 1.はじめに
原因不明の急速進行性変動性両側性感音難聴の治療に免疫抑制剤の有効性を1979年McCabe BFが報告し、後日メマイ症状も併発することでAutoimmune inner ear disease(内耳自己免疫病)と提唱しました。すでに国際的に認知されている内耳疾患ですが、日本では未だ保険未掲載疾患です。

2.症状
多様な症状を呈し、他の内耳疾患(メニエール病、特発性感音難聴、突発性難聴、急性低音障害型感音難聴、遅発性内リンパ水腫)の病状に類似します。遷延性進行性疾患の結果、放置にて最終的には両側聾、前庭機能障害のため日常活動への著しい制限に進展します。

 

1)難聴:発症時期は不明から数日前、あるいは突然の発症、また難聴発症後数年間、難聴の進行なく安定数年後に再び進行する例など、発症時期や進行速度は多様です。多くは一側の難聴から始まり、両側性難聴に進行します。障害周波数では低音障害が最も多く、次いで全周波数障害で、4kHz,8kHzのみ高音障害は稀です。
2)めまい:突然の回転性めまい症状でメニエール病のめまいと類似します。
回転性めまい発作のない期間でも両側性前庭機能障害のため浮動性めまい(足元の安定した位置で起立中でも目を閉じると、足元が揺らいでいるような感覚)を感じます。

3.発症原因
内耳組織を構成する内耳特異的蛋白に対する自己抗体(内耳自己抗体)により、内耳免疫組織傷害が発生し、感音難聴や内耳性めまいの症状を起こすと考えられます。

4.診断
現病歴、症状、生理学的検査にて内耳自己免疫病を疑うことができます。確定診断には血液中の内耳自己抗体の検出検査(ウエスタンブロット法)を行います。

ただしこの内耳自己抗体は聴力正常者でも10%未満に検出されます。

5.治療
自己免疫反応を抑制することで、病状の進行を阻止します。治癒させることを目的とする治療ではありません。可能な限り長期間、良好な状態を維持することを目的とした治療です。治療薬にはステロイド(60mg2週間漸減)、シクロフォスファミド(CPM)(1回100mg,週2回、8週間服用、6か月以上休薬、再発時再服用))を症例に応じて使用します。

6.予後
他の医療施設から難治性難聴として紹介されステロイド(プレドニゾロン60mg2週間漸減)治療)無効例95名(146難聴耳)に対するCPM治療2年間の成績は難聴進行阻止136耳(93%)、聴力改善耳(10dB以上)67耳(46%)で、めまい併発31例中30例でめまい消失を認めています。免疫抑制剤治療による副作用発生は現在まで1例もありません。なお正常聴力者においても内耳自己抗体が検出されます。したがって再生修復機能が万全であれば内耳自己抗体による内耳組織障害が発生しても、長期間の正常機能維持が可能と考えられます。そこで治癒力を悪化させない健康的な生活習慣が予後の重要な指標となると言えます。

 

初めて内耳自己免疫病の診察・診断を希望される患者さまへ

全て富山の診察を受けていただきますが、最初の診察と診断は以下の医療機関で行います。

以下のいずれかの病院で富山の診察、診断、検査(予約制)を受けていただきます。

  • 神尾記念病院(東京都千代田区神田淡路町2-25、03,3253-3351、月曜日)
  • 大宮中央総合病院(埼玉県さいたま市北区東大成町1-227 ,048-663-2501 ,火曜日、金曜日)

 

診断が確定し、治療を希望される患者さまは、

日本医科大学多摩永山病院耳鼻咽喉科、第1水曜日午後(予約制)に受診していただき、富山の診察後、治療を開始いたします。

 


 

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